慢性心不全について

慢性心不全のイメージ写真

心不全は、心臓のポンプ機能が低下してしまい、必要な血液を全身にくまなく送り届けることが出来なくなる状態です。
心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋炎などの病気によって起こることが多いのですが、その他の要因も考えられます。

急性心不全と慢性心不全があり、前者の場合は短時間で呼吸困難に陥り、救急搬送する前に死に至るケースもあります。
一方、慢性心不全の場合は、心臓に負担がかかり続けることにより、徐々に機能が衰えていきます。何らかの誘因によって急性増悪することもあります。

このようなときは当院をご受診ください

  • ちょっとした階段や坂道を上るときにも息切れする
  • 動悸が治まらない
  • いったん呼吸が乱れると、呼吸が整うまで時間がかかる
  • 足や脛がむくんできた
  • 食欲がない
  • 体重が増加し、疲れやすくなった
  • 倦怠感が続いている
  • お腹が出てきた
  • 横になると、呼吸が苦しくなって眠れない
  • 夜間に息が苦しくて起きることがある

など

お薬による治療が必要です

慢性心不全でも心臓の機能は衰えているのですが、急性期のような辛い症状を自覚されないことがあり、医療機関を受診せずに放置している患者様もいらっしゃいます。
しかし、きちんと治療を継続しないと、経過中に何度も急性心不全の発症を起こし、その都度入退院を繰り返すようになりかねません。

そのため、定期的に循環器内科を受診し、主にお薬による治療を続けます。これによって生活の質(QOL)を改善させ、生命予後も延伸させることが出来ます。
当院では、患者様の状態や病歴、基礎疾患の有無などを慎重に考えてお薬を選択いたします。

心臓弁について

心臓の内部は、右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれています。
この部屋の出入り口には扉のように開閉する弁が設けられているので、血液を上手く循環させることが出来ます。

心臓弁膜症とは

心臓弁膜症は、この弁に先天性・後天性の支障が生じてしまい、ポンプ機能を上手く発揮できなくなる病気です。
弁の種類や障害の状況によって様々なタイプがありますが、僧帽弁と大動脈弁に生じる病気が特に問題となります。

以前はリウマチ熱の後遺症として僧帽弁に罹患するケースが多く見られましたが、現在は効果的な治療法が普及しているので、このタイプは減少しています。
その一方で、動脈硬化や心筋梗塞に伴って心臓弁が変形してしまうタイプが増加傾向にあります。特に高齢の方は特に注意が必要です。

心臓弁膜症の治療

弁の構造異常そのものを治すには手術やカテーテル治療が必要となります。
軽症のうちは薬物治療で対応しますが、日常生活に不都合をきたすようになったときは、外科手術によって弁の悪い部分を修復したり、新しい弁に取り替えたり、カテーテルを用いて人工弁を留置したりする必要があります。
当院では、適切なタイミングを逃さないよう、慎重に経過をみていきます。